私が起業家時代に投資家を尋ねた話(500万円出資の行方編)

昔、私が脱サラして起業した時に、ある上場企業の社長へ、事業提携の話をしに行ったことがありました。投資者を募集されている起業家との面談で、少しお話にあがり、あなたのお役にも立つかもしれないと思いましたので記事にしています。

記事は「アポイント」、「プレゼン当日」、「投資に向けた活動」、「500万円出資の行方」、「その後の縁」と、全5回に分けて書いています。今日は、4番目の「500万円出資の行方」です。

自社のサービスを、自らが設定した期限までに、自らが設定した数売ることが出来れば、販路から人脈、資金に至るまで提供してもらえるという、願ってもないチャンスを手に入れたものの、前半戦は思い通りに行かなかったというお話はしましたね。

今日は、残る後半戦のお話です。残りの期限内に、自分でコミットメントした数を、何としてでも売らなければなりません。失敗しても「今月は目標個数に届かなかったから、来月頑張ろう」と言う訳には行きません。

そうは言うものの、自ら「この数は売ります」と宣言した数字は、「余裕の数字」ではありませんでした。何故なら、あまり低い数(余裕で売れる数)をコミットするのは、(今となればどうでも良いことですが)カッコよくないと思ったからです。

そこで、自分へのプレッシャーも兼ねて、少し背伸びをした数字を掲げて見たのです。しかし、これが裏目に出たのです。元来、私は、プレッシャーに強くありません。

私がエンジェルとして出資させて頂いている起業家?の方の多くは、自らプレッシャーをかけ、背水の陣を敷くことで、それを達成させる強者も多いですが、そのようなやり方は、私には向いていないようでした。

しかし、向いてるだの、向いていないだのと言っている場合ではありません。残る期間、がむしゃらに営業をして、とうとう、期限の日を迎えました。期限の日の夕方、T社長からメールを頂きました。





T社長「期限日ですが、どうでしたか?」

なかいてつや「ダメでした。約束の数字に到達していません」

T社長「そうですか、残念でしたね。では、当初の話は白紙に戻しましょう」



頭のなかが真っ白になりました。当然の結果ではありますが、どこかで、「少し未達でも、おまけしてくれたりするんじゃないか」という甘えがあった(どこまで、甘えれば気が済むのでしょうね)のでしょう。

しかし、個人投資家となった今から考えれば、これは当然の判断だと思います。自ら設定した約束を守れない起業家は、今後どんな約束をしても、守れない可能性は高いでしょう。全て、面接の一環のようなものだったのです。

この経験を通して私は、「自分は人から、ある一場面(私で言えば、最初のプレゼン当日)だけでなく、その後の自分の言葉や行動の全てを通して、判断される」という事を学びました。

私は、最初のプレゼンで、思いのほか良い反応があったので、「決まったも同然」と気を抜いていたのです。プレゼン当日にしたコミットメントも、実現可能な数にも出来たはずです。しかし、私の「虚栄心」がそれをさせませんでした。

あなたも、私と同じように、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルと面談することがあれば、その面談だけでなく、その前後の全ての言動があなたの人間性を表すものとして、見られているかもしれないと考えておくと良いかもしれません。

そうすることで、私の様に、せっかく掴みかけた、「チャンスの女神の前髪」を、手放してしまう可能性が減るでしょう。この出資及び、業務提携の話は、残念ながら、本当にこの日のメールで終わってしまいました。

しかし、縁とは不思議なものです。次回の最終話で、「その後の縁」のお話をしたいと思います。


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