法人ではなく個人に対して出資や投資をして欲しい!

現在、既に事業を行っている個人事業主の方から、私も出資の相談を頂くことがあります。自分個人に対して出資や投資をしてもらえないか、という相談です。

もちろん、出資や投資は契約ですから自由なはずで「こうでないとダメ」というものはありません。契約は、お互いが了解すれば、基本はどんな形でもいいのです。

例えば、個人やプロジェクトに対して出資しようと思えば、匿名組合契約という契約を結び、利益を分配することができます(ここでは金融商品取引法の縛りについては割愛します)。またその他の方法でも、同様の効果を得る方法はあります。

そのため、「個人に対して出資や投資を出来ませんか?」という質問をされると「仕組みとしては可能です」となります。しかしこの質問が、「あなたは個人に対して出資をしますか?」と変われば、答えは「いいえ」となってしまいます。

これは、私に限らず多くのエンジェル投資家や、ベンチャーキャピタルも同様に、「いいえ」という返答が多いと思います。あまりみんなが乗り気になれない、その理由はなんでしょうか。


なぜ個人なの?

他の方は判りませんが、私はまず、「なぜそこにこだわるの?」というのが気になります。法人にすればいいだけなのに、個人にこだわる、その理由が明確でない場合、「この人は何を考えてるんだろう」という不信感が先に立ちます。もちろん、ここが明確であれば、出資を検討するかもしれませんね。

無担保

法人の場合は、株式を担保して出資します。担保といっても、どこかに持って行ってお金に変えらえる訳ではないのですが、会社を出資分だけ一部所有していることになります。この担保が、個人の場合には何もありません。もし仮に、個人事業に出資したからと言って、その個人を所有するとなると、人権が絡むややこしい問題となり、公序良俗にも反しそうですね。

不透明

個人の場合、自分の生活と事業の区別がなく、お金が出入りします。法人であったなら、その区別はつけやすいのですが、個人ではそれが事業のためのものなのか、そうでないのか判りずらい部分が多いです。投資は、得られた利益を分配するものですので、利益が不透明となる(隠せてしまう)形というのもネックになりそうです。



こうやってみると、個人への出資や投資に、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルが、積極的にならない理由が、少し見えてきますね。あなたも法人にして、出資者を募集されたほうが、早く事業をスタートさせることができるかもしれません。

私が投資を実行する際にも、会社を作る費用も全て出資することも多いです。あなたも、あまり「個人への出資」という部分にこだわらず、一度、法人化することを検討されてもいいのかもしれませんね。


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