私が起業家時代に投資家を尋ねた話(投資に向けた活動編)

昔、私が脱サラして起業した時に、ある上場企業の社長へ、事業提携の話をしに行ったことがありました。投資者を募集されている起業家との面談で、少しお話にあがり、あなたのお役にも立つかもしれないと思いましたので記事にしています。

記事は「アポイント」、「プレゼン当日」、「投資に向けた活動」、「500万円出資の行方」、「その後の縁」と、全5回に分けて書いています。今日は、3番目の「投資に向けた活動」です。

前回は、ある上場企業の会社の創業社長へプレゼンをして、最後に「当社がエンジェルになりましょう」と言う結論で終わった、というところまではお話しましたね。

プレゼンでは、お叱りを受けはしたものの、私の事業に興味を持ってくれたT社長は、「協業はもちろん、出資しますよ。事務所は、うちの事務所の一角を使えば、経費も減らせるから使えばいいよ」と言ってくれました。

これは、願ってもない提案です。もちろん出資を受けてしまえば、私だけの会社では無くなってしまいます。しかし会社は、自分の所有欲を満たすためのものではなく、必要なものやサービスを人へ提供するための、ただの器でしかありません。

T社長から、エンジェルとしての出資を受ければ、今まで見たことのない世界が広がるかもしれません。出資したからには、彼も(出資した自分たちが損しないためにも)色々なアイデアや人脈を提供してくれるでしょう。

そう考えると、「出資されると自分だけの会社でなくなる」と言う、ちっぽけな理由だけで、この提案を断るのは、あまりにも勿体無いと思いました。そして「是非、よろしくお願いします」と即答したのです。

しかし、実は、出資にはある条件をクリアする必要がありました。その条件とは、「自分の商品を、自分が決めた数、自分が決めた期限までに、売ってきて下さい」というものでした。

その条件を満たせば、出資もするし、販路も提供するし、人脈も提供すると言われたのです。こんな美味しい話はありません。その場で、売る数と期間をコミット(約束)したのは言うまでもありません。

自分で定めた期間までに、自分で定めた個数を売る。こんな楽なミッションはありません。そう思って、毎日、営業を続けました。しかし、約束の期限の半分が過ぎても、なかなか思うようには売れて行きませんでした。そこで、T社長にメールをしてみました。


メールの内容は、「コミットした事を守ろうと頑張りましたが、これこれこんな理由で、なかなか買ってもらえません」というものでした。返信は翌日ありましたが、その内容を見た時、私は愕然としました。

その内容は、「言い訳は聞きたくありません。返信が面倒なので、自分でコミットした結果の報告以外、送って来ないで」というものでした。このメールは、その後数年間、自分への戒めとして保存していました。

この時の私は、甘えがあったのです。面談のときに、思ったより良い結果になったことで、「多少のことは許してもらえるだろう」という気持ちがあったのかもしれません。情けないやら、恥ずかしいやらで、顔から火を吹くほどの気持ちでした。

この経験を通して、私は「起業家に頑張ったと言うのは、何の役にも立たず、ましてや言い訳は何の役にも立たない」と言う事を学びました。あなたも、同じように「こんな理由があるから、出来なくても仕方ない」と言い訳をしていませんか?

さて、またまた厳しいお叱りを受けた私は、残る期間、今まで以上に必死に営業を行いました。そして、約束の日を迎えることになるのです。この日までの結果で、その後の人生は大きく変化することになるのです。

さあ、どうなったと思われますか?次回は、「500万円出資の行方」のお話です。


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