私が起業家時代に投資家を尋ねた話(アポイント編)

昔、私が脱サラして起業した時に、ある上場企業の社長へ、事業提携の話をしに行ったことがありました。投資者を募集されている起業家との面談で、少しお話にあがり、あなたのお役にも立つかもしれないと思いましたので記事にしています。

記事は「アポイント」、「プレゼン当日」、「投資に向けた活動」、「500万円出資の行方」、「その後の縁」と、全5回に分けて書いていきます。今日は、1番最初の「アポイント」です。

会社員として、サラリーマンをしていた私は、脱サラをして起業しました。私は、ある業界のタブーを破って、特許化したものを売り始めましたが、興味は示してもらえるものの、起業後半年が経過しても、なかなか計画通りに売れない日々が続いていました。

これではいけないと、起業家一年生の私は、来る日も来る日も、「どうにか、これを売れないか」と考え続けていました。そして、ある日、「同じ買い手をターゲットにしている会社に、お客さんを紹介してもらおう!あわよくば、代わりに営業してもらえるかも知れない」と、甘い考えが頭に浮かんだのです。

こんな虫の良い話はありません。しかし私はいつも、「一度考えついたことや、思いついたことは、必ず実行する」ようにしています。何故なら、実行しなければ、「実行していたら、結果が変わったかもしれない」と、いつまでも後悔しそうだからです。

そこで、「どうせ組むなら、小さい会社より大きい会社と組む方がいい」と言うことで、東証一部に上場企業しているN社に、(勝手に)白羽の矢を立てました。そして無謀にも、その上場企業の創業者であり、社長でもあるT氏に直接会って、話を聞いてもらおうと思ったのです。

しかし、同じ社長同士とはいえ、相手は一部上場企業の創業者で、こちらは起業して半年、売上もほぼ無いような会社の創業者。勢いだけで乗り込んで、ただ「お客さん紹介してください」と言っても、相手にしてもらえないでしょう。私にとってはメリット、相手にとってはノン・メリットなのですから当然です。


そこで、私は「自分が提供できるメリット」を、紙に書き出してみることにしました。当然、簡単に探せる訳はありません。しかし、それでは話になりません。自分が起業した事業や、自分の経験などから、相手の会社に取ってメリットとなる事、「こいつと付き合うと得だ」と思ってもらえそうな事を、片っ端から挙げて、何日か掛けてまとめあげました。

そして、まとまったところで、いざ、白羽の矢を立てたN社へ電話です。「社長と会いたいのですが?」などと消極的な聞きかたをすると、「会えません」と言われそうな気がしましたので、思い切って「ご提案をお持ちしますが、どうすれば会えますか?」と聞いてみました。

その結果、「提案内容をメール送ってくれれば、追って連絡をします」と、第一関門突破の回答が帰ってきました。ここまで来たら、あとは全力でぶつかるのみです。その日のうちに、前日までにまとめた提案をメールで送りました。それから、待つこと数日。メールで「約2週間後に、本社に来てください」との返信がありました。ようやく、念願の面談が決まったのです。

この経験を通して、私は、「自分のメリットではなく、相手のメリットにフォーカスすれば、どんな相手でも会える」という自信が付きました。この自信は、その後の私の行動にも、大きな影響を及ぼしました。

あなたも同じように、「自分はこれが欲しい」という気持ちを少し横に置き、「私は相手に、何が与えられるだろうか」という気持ちで人と接するだけで、今以上に、多くの協力者や顧客に恵まれるでしょう。

さて、この話はまだまだ続きます。次回は、「プレゼン当日」のお話です。


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