お客さんを持って独立するときの注意点
現在、会社に会社員(サラリーマン)として在籍していたり、店舗の店員として働いているあなたが、自分についているお客さんを持って脱サラして独立起業したり、開業や開店をしようとする場合、気をつけておいて欲しいことが一つだけあります。それは「売上(または利益)において、ある特定の会社(または顧客)が大きなウェイトを占めていないか」ということです。
例えば、あなたに付いているお客さんが5人居たとします。そして、それぞれお客さんから毎月、次のような売上が見込めるとしましょう。(簡素化して考えるための例ですので、細かい話しは抜いています)
お客さん | 売上高 | 利益率 |
---|---|---|
Aさん | 100万円 | 20%(20万円) |
Bさん | 25万円 | 20%(5万円) |
Cさん | 25万円 | 20%(5万円) |
Dさん | 25万円 | 20%(5万円) |
Eさん | 25万円 | 20%(5万円) |
これだけみると売上は200万円で、その20%の40万円が残る計算です。しかし、よく見るとその売上の50%は、Aさんによって上げられています。もしAさんがあなたからではなく、ほかの会社やお店を選ぶとどうなるでしょうか。あなたの会社やお店の売上は、その翌月から半分に減ってしまいます。
それでも経費が少なく損益分岐点を超えていればいいのですが、もしそうでないなら一気に資金繰りは悪化し、会社やお店に務めてくれている従業員への給与や、事務所や店舗の家賃さえ支払えないような状態に陥ってしまいかねません。この例のように売上高が利益が、ある特定の得意先によってのみ支えられている場合、その得意先の支援を失った場合のシミュレーションは、起業前に絶対に行っておいて欲しいと思います。
このようなシミュレーションを怠り、「わたしのファンはほかの会社(お店)などには行かない!絶対にわたしから離れるはずがない!」と思って安心していると、ある日突然客足が途絶え「こんなはずではなかった」と資金繰りに苦労することとなるのです。そうなってからでは遅すぎます。しかし、起業する前の今の段階なら、いくらでもやり直しがきくのです。
どうですか。あなたの起業プランはこのように、少数の顧客に依存した売上(または利益)構造となっていませんか?自分の立てたビジネスモデルを、否定的な目で見つめ直すのは勇気がいることです。しかし、それを行うことができるのも、またビジネスモデルを起案したあなただけなのです。そのような厳しい目で何度も精査していき、失敗する可能性を少しでも減らして起業し、そして成功して欲しいと願っています。
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