外国に工場を作りたい、そんな起業家との面談

アパレル、服飾業界の方に多いように思いますが、出資者の募集をされている起業家から、「外国に工場を作りたい」と言うお話しを、お聞きすることがあります。特に、発展途上国で工場を作り、日本との人件費の差を利用して安く作り、日本へやその他の国へ売るというのが主なビジネスモデルです。

このビジネスモデルは、価格差を利用したもので、一種の裁定取引です。「発展途上国と先進国」や、「為替の強い国と為替の弱い国」など、2つの相反するものの差で、利益を得ます。そして、この差を利益に変えるために、工場を作りたいとなるのです。

しかし、この工場を作ると言うことに、わたしは基本、後ろ向きです。なぜなら、その歪(価格の差)は、いずれ埋まるからです。どのようなものでも、差はいつか必ず埋まります。水が高いところから、低いところに流れるように、最初は利益を取れるかもしれませんが、いずれ高さの差がなくり、そのうちに両方が同じ高さになれば、流れ(利益)が止まってしまうのです。

日本の大手企業も、発展途上国と先進国の人件費の差を利用しようと、外国に工場を作り生産を行いました。しかし、工場を持つと、会社の固定費は爆発的に上がります。一定ラインの利益を維持できているうちはいいですが、少し予想が外れると、一気に赤字に転落します。


このような理由から、出資者の募集をされている起業家が、今すでに、海外の工場に発注していて「もう少し品質を上げたい」、また「もう少し価格を下げたい」という状態であっても私は、どうにか今のままで、工場を作る以外の方法がないか、考え直してみられることをお勧めしています。

まして、海外の工場で外注したことさえない起業家の方へは、なおさらお勧めしません。海外の工場を、まずは外注先として使ってみる、それがなければ需要さえ判りません。このような恐ろしい起業プランには、エンジェルとして投資することはできません。

あなたがもし、「海外に工場を立てたいな」と考えているのでしたら、もう一度、起業プランを見直してみてください。その固定費がかかる工場は、あなたのビジネスモデルには、必須でしょうか?その工場がなくても、あなたがビジネスを魅力的にできるものが、他にあるのではないでしょうか?一度考えてみてください。


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