あなたの「起業の動機」が失敗の元になるかもしれません

私が出資を行うとき、どこかのタイミングで必ず確認していることがあります。それは、その起業家が、どのような理由で起業しようと思ったのかということです。つまり、今から行おうとしている事業の動機です。

  • 頑張った従業員へ還元したい
  • 搾取されている業界を変えたい
  • 無知につけこまれている顧客を救いたい
  • 自分の報酬をあげたい
  • 人に尊敬されることがしたい、、、、

などなど、人によって様々でしょう。これを聞いたからと言って、何が正解で何が不正解という「答え」がある訳ではありません。しかし動機によっては、その動機自体が事業のボトルネック(弊害)となってしまうことも考えられます。

たとえば先程の例から挙げれば、「搾取されている業界を変えたい」という動機から、その業界を覆すサービスを開始したとしても、提供するサービスが、その業界を敵に回してしまうと提供できなくなってしまう事も考えられます。

そうなると、結局は業界の「しがらみ」から抜けられず、業界内で価格競争をするしかなくなり、次第に疲弊して資金が尽きてしまうというのは、「起業家アルアル」で決して珍しいことではないのです。


また起業の動機が、市場ではボトルネックとはならなくても、出資を行う投資家との間で、利益相反(起業家と投資家それぞれの利益が一致せず相反すること)となる事も少なくありません。

もし起業家自身がこれに気づいていなければ、どれだけ投資家を回って出資を募ったとしても、出資してくれる投資家に巡り会える可能性はゼロに等しくなってしまうかもしれません。

たとえば、また先程の例を用いるとすれば、「頑張った従業員へ還元したい」という動機から、役員や従業員に労働以上の賃金を支払い、会社が得た利益のほとんどを、役員や従業員で分配する事業計画を立てているとしたらどうでしょうか。

これでは出資した株主は配当を受けることができないことが、出資する前から決まっているようなものです。このように、起業家と投資家が最初から利益相反になっているということも、実は結構多かったりするのです。

起業家に明確な「起業の動機」があるからこそ、山あり谷ありの中、苦難を乗り越えてでも良いサービスや商品を生み出し、広げていく努力を続けていくことができるのは間違いありません。そのため、この「起業の動機」は、とても大切なものだと思います。

しかし、それが逆に大きな弊害となってしまう可能性があることは、あまり知られていません。ここで一度あなた自身も、自分の起業の動機について考えてみられることをおすすめします。

さて、起業家のあなたが起業しようと思ったきっかけ、「起業の動機」は何でしょうか。それは今の、また今後のあなたの活動の壁になってしまう可能性はないでしょうか。是非一度、自分に問うてみてください。

客観的な意見が必要であれば、コンサルティングでご相談頂くことも可能です。あなたの起業が、正しい方向へと進み、その結果大きな成果を得られることをお祈りしていますよ。


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