希望的観測に基づく数字ではありませんか?

個人事業主が、自分の感覚として概算で把握している金額と、実際の金額に開きがあることは少なくありません。この傾向は、振込やカードで決済している場合より、現金決済をしている場合に多く見られます。

そして多くの場合、(個人事業主である起業家の頭の中では)売上は実際よりも多く認識されがちですし、経費は逆に実際よりも少なく認識される傾向にあります。

しかしこのようなケースはほとんどの場合、起業家が意図的に(または悪意を持って)売上や経費を調整しているというものではなく、人間として誰しも持っている「希望的観測」によって、実際とは少し違う景色が見えているだけです。

これは、わたしが毎日行なっている投資面談においても同様です。個人事業主の方が法人化される場合でも、法人登記をするだけならわたし達個人投資家は不要ですが、そこで新たな資金需要があると、法人成りと同時に出資させて頂くことがあります。

そしてこのような個人事業主からの法人成りに伴う投資の場合には、先ほどの「希望的観測を伴ったお話」に出会う機会が多くなります。しかし投資に至るまでの間に、さまざまな書類を見せていただく中で、実際の数字と希望的観測を伴った話との間に、あまりにも大きな差が開いている場合には、残念ながら投資を見送らざるをえないケースも出てきます。


わたしは一旦投資に向かって走り出した案件は、なるべく実行へ導きたいと思っています。それでも、(少し色眼鏡をかけて甘く見たとしても)泣く泣くお断りすることもあります。

そのため個人投資家の方で、これから法人成りのために投資家を集めようと思われている方は、(数字を見ると頭が痛くなるかもしれませんが)税理士さんや簿記に強い友人知人を頼ってでも、自分の把握している数字と実際の数字の間に、乖離(かいり・大きな開き)が無いかを確認されることをオススメします。

実際の数字を正しく認識すれば、もしかすると個人投資家へ出資を募ることなく(会社の持分を全て自分のものにしたまま)、現在個人事業主として行っているビジネスを、そのまま法人化することができるかもしれません。

また逆に、もしかすると法人化することで費用負担がますます増えて(税理士報酬や定額税など)、赤黒トントンのビジネスが赤字へ転落してしまうかもしれません。

このように、どちらにしても実際の数字を認識しておくことは重要です。少し面倒かもしれませんが、それはあなたが苦手意識を持っているほど難しいものではありません。ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。


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