素直な起業家が好まれる理由
起業家として、持っていたほうが好ましい性質に「素直さ」があると、常々わたしは思っています。それは単に、投資面談やコンサルティングにおいて「自分の意見を取り入れてほしい」というわたし自身の欲求から来ているのではありません。
もちろん投資家としてその起業家と関わっていく場合には、素直にわたしの意見を聞いてくれるほうが(頭ごなしに否定されて聞いてくれないよりは)いいですが、それは枝葉でしかありません。
わたしの意見に耳を貸さなくても、結果的にその起業家の方法で着実に結果を残せるのであれば、その起業家より知識の少ないわたしの意見を取り入れないほうがいいことさえあるでしょう。
しかしその「声」がわたしの声ではなく、市場の声であるにも関わらず、それでも頑な(かたくな・頑固)に起業家自身の考えにとらわれているとすればどうでしょうか。結果は、ここで述べる必要さえなく、その事業は間違いなく衰退するでしょう。
よく勘違いされている起業家の方もおられますが、事業は一度起動に乗ったからといって、決して安泰だということはありません。ある市場に受け入れられて、一旦は安定した利益を得られるようになっても、決して安心することはできないのです。
なぜなら、周りにはドンドンと新しい商品やサービスが現れますし、それに合わせて顧客のニーズも変わっていきます。そのため「安定は一時的で、周りはドンドンと変わっていってしまう」のが当然で、昨日と全く同じ市場(そして、そこから得られる安定した利益)を期待するほうが無茶だとわたしは思っています。それはまさに、空に浮かぶ雲のようなもので、絶えずその景色を変えていくのです。
そのため、起業家がビジネスを興(おこ)すうえで、この変わり続ける市場に「素直さ」を持ってついて行くことができなければ、残念ながら淘汰されてしまうでしょう。
これは何も起業したばかりのスモールビジネスやベンチャー企業だけではありません。どれだけ企業が大きくなり、ずっと長い期間にわたって、同じような物やサービスを提供しているように見えている企業でも、水面下では市場に合わせた「素直さ」を持ち合わせているからこそ、生き残ることができるのです。
どうですか。あなたは現在の成功にあぐらをかいていませんか。素直に市場に耳を傾けようとしていますか。それが単にパフォーマンスであっては、何の意味もありません。本当の意味の素直さを持つことができれば、あなたはもっと魅力的になりますし、市場の隠れた声も聞こえるようになるでしょう。
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