わたしは私を落ち込ませてくれる人が大好きです

言い方が悪いかもしれませんが、わたしは「わたしを落ち込ませてくれる人」が大好きです。もちろん、悪意を持ってそのような事をする人は、幸いわたしの周りにはいませんが、これは大切なことだと思いますし、これは私だけでなくすべての個人投資家(エンジェル投資家)に共通する考え方だと思いますので、あなたとも共有しておきますね。

わたしの言う「落ち込ませてくれる人」というのは、愚痴を言ったり、悪態をついたり、陰口を叩く人ではありません(誰もこんな人は好きになれませんよね)。わたしの言うのは「わたしが落ち込む事だと判っていても言ってくれる人」「わたしが聞きたくない情報でも、迷わず開示してくれる人」という意味です。

ではここで、わたしが投資している会社を例に挙げてみます。例えば、株主総会や報告会などで聞かされていたある事業について、思った通りの結果が出ない場合、2つのタイプの起業家がいます。


  • 連絡が取りづらくなる
    電話やメールの返信が遅くなり、LINEは既読が付かなくなります。報告を求めても「少し予定より狂ったが改善に向かっている」というような報告が返ってきます。その原因が起業家のミスにあるような場合には、この傾向はより一層強くなる傾向にあります。

    そして決算を迎える頃になって、ようやく観念して全てを白状してくれます。ここからはわたしも実際に事務所に行って、実務を一緒に行うなどしながら挽回に向けて動き出します。こうなると、売上や利益を落とすだけでなく、起業家への信用が一番落ちてしまう残念な結果となります。


  • 即連絡を入れてくる
    前提が狂ってきた段階から、修正が完了するまで適時報告をしてくれますし、いつも以上の速さで返信やや報告をしてくれます。原因がどこにあるのかに関わらず、まずは現状を全て報告してくれて、いま起きている問題を解決することに全力を尽くしてくれます。

    もちろん、後から原因を探っていくとその起業家に重大な落ち度が見つかることもあります。しかしそれを隠すことはせず、堂々と謝罪して償おうとします。この場合には、売上や利益は前者同様に落ちますが、事業が挽回するのも早く決算には予定とあまり変わらないことも少なくありません。またそれ以上に、その起業家への信頼度は(問題を起こした原因が起業家にあったとしても)ますます高まることとなります。

少し脚色はしていますが、これは実話が基になっている話しです。最初はみな「わたしは正直に話します」と口を揃えて言ってくれます。しかし、実際その状態になったときに(誰の責任であるかに関わらず)わたしを落ち込ませてくれる(落ち込む報告でもしてくれる)人というのは、残念ながら多くはありません。

また、これは投資面談のときでも同じです。自分に有利な情報だけを話し、わたしに知られると不利になる(と思っておられる)情報を出さないようにする方もおられます。そのような場合には、例え出資したいと思う案件でも「出資しても同じように隠されてしまうだろうな」と考えると躊躇してしまうのです。

「起業家と投資家といえども、出資契約を結ぶまでは交渉だ」という考え方も間違ってはいないでしょう。しかしお互い人間ですから「この人と付き合っていきたい」と思える人と、一緒にビジネスを作っていけたらいいなと日々思って、投資面談を行っています。

さあ、あなたはどうですか?わたしを「落ち込ませてくれる人」ですか?


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