個人投資家を打ち負かす必要はありません
わたしが投資面談やコンサルティングなどで、起業家の方から起業のプランについてお聞きしたあと、素朴に思いついた質問などをしていきます。もちろん、ほとんどの起業家は、わたしの疑問や質問に即答することができます。
しかし、その質問について「なるほど」と思える答えを明確に返せる起業家は、それほど多くはありません。例えば、当然お聞きしている起業プランはまだスタートしていないビジネスですから、仮説や想定に基づく部分が多いのは当然ですが、わたしはその仮説を立てるに到った根拠などについて聞きたいと思います。
そのため、面談で話を聞きながら提案のあったプランに対して質問をしたり、前提条件に対して疑問を投げかけたりしながら、わたしもその起業家がたどった思考ができ、またその結果、同じ結論にたどり着けるかどうかを試してみたりします。
この課程は決して「対決」や「討論」ではないのですが、どうしても、人間ですから防衛本能が頭をもたげてしまいがちです。そのため、考えていなかったことについて質問されると「負けてはいけない」という気持ちが先にたち、思いつきで切り替えしてこられる人もいます。
しかしそのような場当たり的な返答は、どうしても前後の主張や起業プランとの間に矛盾を生じさせてしまいます。その結果、どれだけ練り上げられていた起業プランでも、その矛盾ゆえに全体の信頼度を疑わざるを得ないということも少なくないのです。
投資面談での起業家と投資家は、決して敵同士ではなく、相手を打ち負かすことが目的ではありません（むしろその逆です）。だからといって何も準備せずに望むのではいけませんが、知らないことや抜けがあるからといってそれを隠すために付け焼き刃で言葉を発すると、全てを無駄にすることになってしまいかねません。
そうならないために、万全の準備をしておくことはもちろん、そのうえで知らないことがあれば、素直に認めるのが得策といえるでしょう。これは、わたしだけでなくほかの個人投資家へ提案するときにも同じことが言えると思います。
わたしはあまりブログで、このような「小手先のテクニック」についての情報を書くことはしたくありません。しかし、あまりにも勿体無いと感じることが多いので、少し記事にしてみました。もし、あなたがこれからエンジェル投資家を含む個人投資家から出資を受けようと思っているのだとしたら、ぜひ参考にしてください。そして相性のあう投資家を見つけることができれば出資をあおぎ、共に成功に向かって邁進してくださいね。
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