どれくらいの利率なら融資してもらえますか?

投資して欲しい起業家の方から、ほぼ毎日のように投資のご提案をお聞きしていますが、その中でもよく「融資」についてのご質問をお受けします。(融資と投資の違いはこちら

その質問とは、「出資ではなくて、融資だったら、お金を出してもらえますか?利率(利息)はどれくらいつければ、貸してもらえますか」と言う質問なのです。最初は、なぜ「融資」と仰っているのか、理解できませんでした。(もちろん無担保の話です)

しかし、お伺いしているうちに、次のような理由から、仰っているようでした。出資は、「失敗しても返さなくてもいいお金」ですが、融資だと、「失敗しても返す必要の有るお金」となります。

ですから、起業家の方からすれば、「私がもし失敗しても、私が責任をもって、エンジェルのあなたへ必ず返すという約束なのですから、投資より融資の方が安全ですよね」というご提案です。

なるほど、一見すると、その通りのように聞こえます。しかし、これには、ある条件が必要なのです。それは「起業家の方に、これから出資(または融資)を行って始める新しい事業から予定している収入以外の収入がある場合に限り」投資より、安全であると言えるのです。


なぜなら、起業家に融資をして「失敗しても、必ずお金は返します」と約束してもらったとしても、その返すお金は、どこから出てくるのでしょうか?起業家に、別の場所からの収入(例えば副業や、サラリーマンとしての給料など)がある場合は別として、普通は、これから始める新しい事業のみが、収入源となるでしょう。

では、新しいビジネスが思ったように行かない場合は、どうなりますか?起業家は、得られるはずだった自分の報酬さえ取れないことになります。すると、それが例え融資であり、エンジェルに返す必要のあるお金であったとしても、「無い袖は振れない」と言う事で、お金は返せなくなります。

そのため、新規事業で新しいビジネスを行う場合は、それが、融資であっても、投資であっても、その新しいビジネス自体のリスクの大きさは変わらないのです。まして、それに融資の場合は「利息制限法」という法律で、受け取れるリターン(利率・利息)の上限が定められているのです。

これでは、融資ではリターンが低すぎて「リスクとリターンのバランス」が合いません。それでも、バランスを合わせようとすると、やはり、銀行と同じような基準で審査するしか無くなりますので、エンジェル投資からは、程遠い判断基準となってしまいます。

このような理由から、今は、約束頂くリターン(利率・利息)に関わらず、融資のみを行うことはありません。それともうひとつ。やはり、エンジェルと言うからには、ある程度のリスクを取ることも、私達エンジェルの存在意義だと思っていますので、それも融資をしない理由の一つかもしれません。


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