事業に大切なのは、たったの3つしかありません

昨晩、エンジェルとして、実際に出資を行った会社の若手起業家と、電話でミーティングをしていました。この若手起業家を、Y社長としておきますね。Y社長は、とても行動力が有る方なので、行動した結果を元に、ドンドンと成長されている若手起業家です。

昨日のミーティングの雑談の中で、面白い話がありましたので、少し記事にしてみました。Y社長は「事業に大切なことは、次の3つに集約されるのではないか」と仰られ、仮説を立てておられました。それは、次に挙げる通りです。簡単に説明してみますね。

1.キャッシュフロー

どれだけ「帳簿上の利益」が出ても、現金が足りなくなれば、事業は継続できません。例えば、売掛の周期が長かったり(月末締めでも支払いが数ヶ月先にしかもらえない等)、手形を受け取っていたりして、現金に変わるまでの時間が長くなると、「儲かってはいるけど、現金がない」という状態に陥ります。

この逆も然りです。「帳簿上の損」が大きくて、赤字であったとしても、現金が余っていれば事業は継続出来てしまいます。例えば、現金商売を行うアパレルや花屋さんが、仕入れは買掛(月末締め翌月払いで遅い支払いでいい等)で、売上は現金で回収できるというビジネスモデルで有った場合、それがたとえ薄利であっても、現金には困りません。

2.投資効率

同じ100万円を使うのであれば、その100万円が、ある一定期間で、どれだけの利益を生み出せるのかを考えなければなりません。例えば、100万円で仕入れた商品を、AさんとBさんが、それぞれの方法で売りました。Aさんは、それを6ヶ月掛けて220万円(+120万)で売り、Bさんは130万円(+30万)の値段を付けて、1ヶ月で売り切りました。さあ、どちらが得(投資効率がいい)と思いますか。

一見、Aさんは、6ヶ月掛けてもでも220万円で売れれば、2.2倍で売れているのですから得しているように見えるかもしれません。しかし、利益の120万円(売値220万円ー仕入100万円)を6ヶ月で割ると、1ヶ月当たりの利益は20万円となります。

一方、Bさんは、130万円(+30万)と薄利で売っていますが1ヶ月で現金化できています。1ヶ月当たりの利益で比べると、なんとBさんの方が、投資効率がいい(得な)のです。

これを1年間で見ると、Aさんは240万円(6ヶ月120万円x2)、Bさんは、360万円(1ヶ月30万円x12)となり、投資効率は、なんと1.5倍も変わるのです。

 記号AさんBさん
商品の仕入れ代金A100万円100万円
売れた金額B220万円130万円
利益C(B-A)120万円30万円
売れるまでの期間D6ヶ月1ヶ月
月当たりの利益E(D÷C)20万円30万円
年当たりの利益F(Ex12)240万円360万円



3.最終利益の絶対額

銀行からの資金調達を主に考えている会社は、「売上」を気にした経営をしています。利益がなくても、売上が必要だからという声も、よく耳にします。しかし、売上は何の意味も持ちません。最後は、「結局いくら残ったの」という部分です。ここから軸がブレると、利益の薄い事業に、時間や資源を取られてしまい、疲弊してしまうことになるのです。



以上、Y社長が、ご自身の昨年の経験を元に考えられた「事業に大切な3つのポイント」でした。もちろん、色々な考え方はありますし、Y社長もドンドン成長し、考えも変わっていかれるでしょう。しかし、上に挙げた3つは、私も大切だと考えていることですので、こうして書かせて頂きました。

エンジェルとして投資した事業の成長が、楽しみなのはもちろんの事ですが、このように、起業家の方の成長を見られるというのは、掛け替えのない喜びの一つです。これからも、Y社長のような方と、縁を繋いでいけるのかと思うと、楽しみで仕方ありません。あなたにお会いできる日を、楽しみにしています。


投資家ブログ一覧を見てみる

エンジェルコラムを見に行く

あなたが知りたい情報をサイト内から素早く探す