出来れば一人で始めたいけど、仕方なく投資家を募集中

当然かもしれませんが、起業家自身にお金があれば、エンジェルや個人投資家から、出資を募って起業することはないでしょう。しかし、起業家に自己資金がない場合は、融資や出資によって、外部から資金を調達することとなります。

私も、出資をして欲しい起業家の方と、日々面談を行っていますが、その中でも「本当は一人で始めたいけど、お金が無いから仕方なく出資者を募集してる」という方がいらっしゃいます。先ほども書きましたが、それは当然だとは思うのですが、あまりにも、この「仕方なく」という気持ちが全面に出ていて、その気持が強い方は、起業プランが、どれだけ魅力的であったとしても、出資を見送ることもあります。

それは何故でしょうか。何故なら、その事業で利益が出たとき、起業家が「本来なら(自己資金でスタートしていれば)、自分一人が取れたもの(儲けられたもの)が、出資してもらったが故に(エンジェルに)取られている」という気持ちが強くなるからです。

利益の分配は、それぞれ負ったリスク(出資比率)に応じて決まるのですが、「仕方なく出資者を募った」と言う考えが強ければ、「自分が出した利益を奪われた」という考えになるのです。ただ思うだけなら、まだ良いのですが、人は思い続けると行動してしまう生き物です。


次の段階は、「本来は、これは自分が得るはずの利益なんだから」と正当化しながら、売上や経費をごまかすなど、不正に手を染めるようになって行くのです。こうなると、せっかく一緒に始めた事業なのに、お互い敵が同士のような雰囲気になっていきます。これは、とても悲しい結果です。

こうなるくらいなら、最初から出資しないほうが、エンジェルと起業家、お互いの為ではないかと私は思っています。お互いが認め合い、お互いが納得して起業する。エンジェルはお金でリスクを負い、起業家は時間とアイデアを提供する。お互いに持っているものを出し合って、一緒に一つのものを作って行く。エンジェルと起業家は、そんな関係で、ありたいと常々思っています。

とは言うものの、人間の気持ちは、簡単に制御できるものでもありません。ですから、出資を募る際に、どうしても「本当は一人で始めたいけど、仕方なく」と言う気持ちが消えない人もいるでしょう。そのときには、エンジェルや個人投資家からの資金調達ではなく、日本公庫(日本政策金融公庫、旧国金)や銀行などの金融機関、または親兄弟や知人などから、融資(融資とは、お金を借りることです)してもらうほうが懸命でしょう。

自分の気持ちに逆らい、投資してもらってまで、お互いが不幸になる必要はないのですから。あなたにとって、最善の資金調達が出来、スムーズに起業がスタートが出来ますように。


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