「本当にやりたいことを見つけて起業しなさい」は失敗します

よく書いてありませんか?「あなたの本当にやりたいことを見つけて、それを仕事にできたら云々」とか、「好きなことを見つけて起業しなさい」と言われます。ことわざでも、「好きこそ物の上手なれ」なんて言っているくらいですから、好きなことで起業するのは、一見正しい意見に聞こえます。

しかし、実はこれは真っ赤な嘘もいいところです。もちろん、好きなことで起業すること自体は、悪いことではありません。しかし、大きな落とし穴があります。それは、「売りたいものを売ること」になっていないかという事です。

ここは勘違いしやすいところですが、事業(ビジネス)は、「売りたいものを売る」ことでは成り立ちません。あなたが売りたいものではなく、お客様が「買いたいものを提供する」ことでなければ、その対価を受け取ることができず、起業しても会社が存続していくことすらできないのです。

実際、私は毎日のように、出資者を募集しておられる起業家の方と、オンラインで面談をしますが、その方たちの中にも、やはり同じように「やりたいこと」や「売りたいもの」に拘(こだわ)ってしまっている方に会うことがあります。その時にも、私は同じように、「売りたいもの」ではなく「買いたいもの」ですよとお伝えしています。

もちろん、やりたいことや好きなことを見つけられる事は、素晴らしい事です。


しかし、需要が判らないままに、あまりにも小さな部分にまで絞ってしまい、「私はこれを売る!」とか「僕にはこれしかない」と、先に決めてしまうことになってはいけません。そうなると残念ながら、良い結果は期待できないでしょう。

もし先に決めるのであれば、なるべく大きなくくりで、分類しておたほうがいいと思います。そして、その大きく決めた分野の中で、お客様が「買いたいものを提供する」という視点で、徐々に自分が起業するものを絞り込んで行くイメージです。こうすることで、「好きな分野で、必要とされているものを売る」ということができるようになります。

起業すれば、誰もが趣味のように、毎日自分の好きなことをして、お金を稼げるというのは、大きな間違いです。正しくは、「自分の好きなことのうち、必要とされていて、かつ供給とのバランスが崩れていることをするとお金が稼げる」のです。

この考え方を持って、あなたも起業するネタを探してください。これを知っているのと、知らないのとでは、結果が大きな差になって帰ってきます。

そして、この考え方で起業のネタを探すと、起業する前に、出資者を募集しようと考えたときにも、エンジェル投資家へきっちりと説明ができ、出資の可能性は飛躍的に高まることでしょう。この記事が、あなたのお役に立てれば幸いです。


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