起業家に選ばれる個人投資家になるために

需要と供給のバランスが大切なのは、なにも顧客を必要とする起業家だけではありません。それは、銀行などの金融機関やわたし達個人投資家も同じです。資金を提供する側、例えばそれが銀行であれば利息を、投資家であれば配当を受け取ることにより、自らの資金を増やすことを目的としています。

しかし、銀行や個人投資家はどれだけお金を持っていても、起業家が必要としているものを知り、それを提供することができなければ、起業家に選んでもらうことはできず、結果として自らの資金を増やしてもらう機会を失うことになるのです。

そのため、わたしも毎日の面談の中で、起業家の方からの提案がある場合には、なるべく積極的に、そして柔軟にそれが可能であるかを検討するようにしています。そして先日も一つのご提案があり、それについて考えてみました。

その提案は、簡単に言うと「資金を投下(会社への出資)するだけでなく、会社の成長のために経営に深く関わって欲しい」という趣旨でした。これはベンチャーキャピタルなどが、出資を行う会社へ取締役を派遣するなどして、経営に参加する「ハンズオン」と呼ばれる形に近いかもしれません。

企業が自社に不足しているノウハウや考え方を補うため、また成長スピードを上げるために、外部のコンサルタントを雇うという考えもあります。しかし今回はそのような「外部のアドバイザー」としての立ち位置ではなく、内部へ経営陣として深く関与し、リスクも共に負うというものです。


このような提案は初めてでしたし、新しい考え方を模索するのは嫌いではありません。そのため、数日間熟考し、そしてリアルでもお会いして話し合うなどして前向きに検討しました。しかし結論から言うと、「求められているものが提供できない」という結果となり、今回の話はなくなりました。

わたしは日々、新しい起業家を探し、また面談し、そして投資を実行したあとはその経営者に対して相談に乗るなどを一人で行っており、従業員を雇うことはしていません。そのため出資先の会社に、ほぼ常勤のような形で経営に参画するのは、実際問題、難しいのが現状です。

その他にもさまざまな理由はありますが、いずれにせよ個人投資家であっても、資金以外のものを求められることがあり、それを提供できなければ、起業家に選んでもらえないという面においては、授業と供給が生命線である起業家と、なんら変わりないのだと改めて考えさせられました。

とは言え、この記事を読んでくださっている方の多くは起業家でしょうから、起業家目線でアドバイスをさせて頂きましょう。それは「資金調達をする際には、自分が何を求めているのかを明確にし、それを満たしてくれる人を探す」ようにしてください。

そうしないと後になってから「こんなこともしてくれないの?」と不満に思うことがあるかもしれません。さて、起業家としてのあなたが、融資や投資において、資金を提供してくれる人へ求めるものは一体なんでしょうか。お金だけですか?それともその他に求めるものが、何かあるでしょうか。あなたはどうですか?


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