エンジェル投資家に乗っ取られるのが怖いです

エンジェル投資家に限らず、友人知人を含み第三者から、出資や投資を受けようとされている方からの相談で多いもののひとつに、「投資してもらった人(投資家)に会社が乗っ取られてしまうのではないか」というものがあります。

私自信も起業家を経ています。そのため起業家のあなたが、一生懸命に考えた事業プランやアイデアが自分の子のように大切で可愛いという気持ちは判ります。

さて、実際に投資を募る場合、映画やドラマのように、投資家に会社を乗っ取られてしまうという事は起こるのでしょうか。まず、この話をする前に、2つの事について、あなたと共通の認識を持っておきたいと思います。

まず1つ目、それは「株式会社の所有権は、出資者(株主)のもの」であるということ、そして2つ目は、「乗っ取りとは、悪意を持って株式の過半数(50%を超える数)を、あなた以外の第三者(ほかの人)に持たれること」、この2つの認識が、あなたと私で同じであるという前提で、話を進めますね。

  1. あなたと私、合計2人でそれぞれが50%ずつお金を出した場合
    起業家のあなたが持っている、または考えた事業プランにおいて、あなたと私が50%ずつお金を出し合って(出資して)会社を作ったとしましょう。あなたと私の所有権は50%ずつです(基本、所有権率と出資比率は同じです) 。

    そして、出資したあなたと私が、起業家のあなたを社長として雇って事業を行ってもらうという感じです。ここではあなたと私の出資比率が50%ずつですが、私があなたから1%の株式を買い取ると、50:50であった出資の比率が、49:51となり私が50%を超えます。

    これは50%を超えているので「乗っ取り」でしょうか?いいえ、違います。なぜなら私は「あなたから1%の株式を買い取る必要がある」からです。あなたから株式を買い取るためには、当然あなたと合意に達していなければなりません。合意に達していると言うことは悪意のある行為ではありませんので、乗っ取りとはならないでしょう。

    では、私とあなた以外の第三者(ほかの人)が入った場合はどうなるでしょうか。


  2. あなたと私の他にもう3人、合計5人でそれぞれが20%ずつお金を出した場合
    この場合は、私はあなた以外の3人のうち2人から株式を買い取ることによって、理論上はあなたに内緒で会社を乗っ取ることが出来ます。

    あなたと私、そしてAさん、Bさん、Cさんの3人がそれぞれ20%ずつ持っているのですから、私が例えばAさんとBさんから20%ずつを買い取ると、あなたとCさんが20%、私が60%の株式を持つことになります。

    これで過半数を握ることが出来ますので、乗っ取りが可能な状態にはなります。しかし、実際には、会社を作る時の定款でこれを防止することも可能ですので、現実的には難しいでしょう。

    では、あなたが出資せず、私やあなた以外の第三者(ほかの人)で100%お金を用意した場合はどうなるでしょうか。

  3. 私が1人で100%お金を出す、または複数の出資者がいてもあなたが1円も出資しない場合
    この場合は、そもそも乗っ取りという概念が存在しませんね。最初にあなたと私の共通認識で確認した通り、「株式会社の所有権は、出資者(株主)のもの」ですので、あなた以外の出資者が100%全てを出資しており、あなたが出資していなければ、そもそも最初から所有権は100%、その出資した出資者にあるのです。

    (言い方が悪いかもしれませんが)あなたには最初から所有権はありませんので、乗っ取られたという表現自体が間違っているのです。(これを勘違いされている方が、まだまだ多いようです)



このように、あなたや私が関わるスモールビジネスの中では(定款や契約で保全する必要がありますが)、悪意を持って乗っ取られるというのは、ほぼないと私は思っています。(株式を公開している上場会社の場合は可能です)

ですから、必要以上に怖がることはないと思います。もし、どうしても不安でしたら、それは無知ゆえの恐怖だと思いますので、実際に会社に関わる法律を調べてみてください。知識はあなたの恐怖を拭ってくれるでしょう。

そして「投資家に乗っ取られることはない」と感じれば、一度、あなたの起業ブランを私にも聞かせてください。あなたとお逢い出来る日を楽しみにしています。


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