起業家が投資してもらった出資金を返したいと思ったら

起業家のあなたが、エンジェル投資家などの個人投資家から、事業資金を出資してもらったとします。しばらくすると、あなたの想定通り事業は軌道に乗り、順調に利益を出せるようになってきました。

投資家へも十分配当をすることができ、投資家は大喜びです。「あなたに出資してよかったよ」と言ってくれます。最初はあなたも上機嫌ですが、そのうち、ふと考えます。

「投資家からの出資金を返してしまったら、こんなに大金を持っていかれることはないのに」と。そして、あなたは、こう考えます。

投資家が最初に出してくれた出資金を返してしまうことはできないだろうか。」



結論から言うと、「返すこと」はできません。

そもそも「返すことはできないか」という考え方から間違っています。「返す」というのは「あなたに出してくれた」と思っているということです。

しかし実際には、お金を出したのは「あなた」にではなく、「あなたが事業を行う会社」の所有権を買っているのです。既に(出資比率に応じた)所有権は投資家側にあるのですから、「返す」という表現が適切ではありません。

少し例を挙げて説明しましょう。例えば、あなたが友人と2人で100万円の車を買いました。あなたが50万円、友人が50万円出しました。これは、あなたも友人もそれぞれが50%の所有権を持っている状態です。

ここで、友人が「この車を自分のものにしたいから50万円返すよ」と言ったとします。少し違和感を感じませんか?この場合、正しくは「(あなたの所有権の持ち分である50%を)50万円で買い取るよ」となるのです。




エンジェル投資家が出資する、出資金の場合も同様です。所有権は既に投資家が(出資比率に応じて)持っているのですから、「返す」のではなく、「買い取る」ことになるのです。もちろん、あなた自身が買い取っても構いません。

では、買い取る価格はどうでしょうか。500万円出資してもらったから、500万円で買い取ればいいでしょうか?これは一概には言えませんが、出資金と同額ではないことも多いです。

現在の企業価値が上がっていれば、買い取りの価格は数倍、数十倍に上がるでしょうし、下がっていれば最初の出資金以下で買い取ることも可能でしょう。

どちらにしても、相対取引なのですから、双方の条件、この場合ですと売手(エンジェル投資家など)と買手(あなた)の条件が合わなかれば、買い取ることはできません。

あなたがどうしても買い取りたいと思えば、相手が多少高値を出してきたとしても買い取るしかないでしょうし、逆に相手がどうしても売りたいと思っているのであれば買い叩くことも可能でしょう。

しかし、できればせっかくの縁で出会った投資家と起業家なのですから、お互い永く付き合っていけるのが一番だと、私は思います。あなたが、良い出会いに恵まれますように、、、


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