繁盛している事業に参入するときの罠

近くにあって助かっていたスーパーが、先月末で閉店しました。わたし達、買い物に行っている側から見ると、なかなか繁盛しているように見えていましたので、閉店のお知らせには正直ビックリしました。このスーパーが赤字だったかどうかは判りません。しかし少なくとも外から見えていた状況とは、少し違ったのかもしれません。

このような状況は決して珍しいものではありません。例えば年商から想定すると、とても成功しているかのように見える会社や店舗であっても、実際に内情を見てみると毎年赤字が膨らんでいるような状態で、たとえ無料で譲ると言われても遠慮したくなるようなケースです。

これが「事業を買う、買わない」の話であれば、全ての状況を開示してもらいますので、そこまで怖くはありません。しかしよくあるのが「儲かってそうだから、同じ事業を真似る」というものです。このような方は多くありませんが、投資面談でお話をお聞きしていると一定の割合で、このような考え方をされている方が居られるのも事実です。

これは起業家を含む経営者が、気を付けるべき罠のひとつです。一見すると利益が出ているように見えたり、羽振りが良く見えたりしても、それが本当の姿とは限りません。例えばたくさんの売り上げがあったとしても、どんどんと広告費を投入して新規顧客を開拓していく必要があったり、キャッシュフローが悪かったりするかもしれません。


また、人件費やシステム開発などに多大な投資をし続ける必要があるのかもしれません。それを知らず、ただ売り上げだけを見て「エイヤ」とその市場に参入するのは、あまりにも無謀であるとわたしは思います。

とはいえ、どこに利益の元があるのか、どのような事業が今儲かっているのかとアンテナを張ること自体は、少しも悪いことではありません(いえ、逆に素晴らしいことです)。しかし、(例えば売上高のみを見るというような)表面的な数字だけを根拠に、良い悪いを判断するのは危険ではないでしょうか。

逆に、いいと思える業界や業種についての情報を収集したあとは、その事業におけるリスクを重点的に調べるくらいの慎重さを合わせ持つといいでしょう。そこでどれだけ慎重に調べておくかで、その後の結果が大きく変わってくるというのは、わざわざここで言うまでもないでしょう。

もし、あなたが同じように「あの事業が儲かると聞いたから」という理由で新規事業を立ち上げたり、独立や開業をしようとしている起業家なら、失敗してから後悔する前にもう一度考え直してみてはいかがでしょうか。


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