事業から撤退するかどうか迷っているあなたへ
創業当初、想定していたほど市場が大きくなかったり、またサービスなどが拡散するスピードが遅かったりした時、その事業から撤退するかどうかを迫られることがあります。
これが全くの「鳴かず飛ばず」で、全く反応がない事業であれば、撤退を決めるのはさほど難しいことではありません。事業の撤退が難しいのは「もう少し頑張れば、大きく花開くのではないか」という期待が捨てきれないときです。
例えば、あなたの出した新商品や新サービスを人へ説明したとき、聞く人がみな「それは面白いね」とか「そんなものを探していたんだよ」、また「ぜひ使ってみたい」という嬉しい意見があるにも関わらず、何らかの理由で購入や導入に踏み切ってくれず、売上につながらない場合などが考えられるでしょう。
このようなときには、「自分がやめた瞬間、市場の風向きが変わるのではないだろうか」と思い、いさぎよく撤退に踏み切ることができず、その結果人件費や、新たな市場に挑戦する時間を無駄にしてしまうことになるのです。
私の経験から誤解を恐れずに言わせていただくと、残念ながら、撤退を考えるような状態から急に、あなたの商品やサービスが売れるようになることは、まずありません。
もちろん、その商品やサービスが広がらない「根本の原因」を、すぐに取り除くことができれば、不可能ではないでしょう。しかし、それが簡単に取り除けるようなものであれば、きっと、あなたはもっと早い段階で手を打っていることでしょう(例えば、値引きするなどです)。
あらゆる手を尽くしても広がっていかないからこそ、今撤退を検討しているのですから、そんな特効薬を求めるのが酷というものです。
さて、ここからは撤退に踏み切る前提の話となります。ここまでの話で「淡い期待」を持つことはやめて、それは一旦横に置いておきましょう。そして、上手に撤退していくことを考えてみてください。
まず、大きく固定費がかかるもの、例えば専属の事務員や営業マンがいれば、他の事業へ配置換えをします。また、その事業のために、事務所や店舗を借りていれば、解約して固定費を減らしていきましょう。
ここで大切なのが、たとえ撤退する事業であっても、その商品やサービスを告知しているウェブサイトは、そのままにしておくことです。今やドメインやサーバーなどは、タダ同然で借りられますので、ウェブサイトだけは現状のまま放置して、撤退することをオススメします。
こうしておくと、時代の流れが変わったり、その他何かの理由で、かつての商品やサービスが注目され出したときには、電話やメールの問い合わせ件数が、それを知らせてくれるのです。
そして、問い合わせ件数や取材などが増えてきた段階で、もう一度、一旦撤退した事業を再開するという道もあるでしょう。もし、あなたが今や、撤退を考えている事業があるなら、このような「中道」を行って見るのもいいのではないでしょうか。
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