出資者に出資金を返せば、渡した株式を返してもらえますか?

起業家のあなたが、自分の起業プラン(事業プラン)において、他の人(例えば個人投資家やエンジェルなど)に出資してもらった後、事業が思ったより早く軌道に乗ったとしましょう。そのとき、あなたは、出資してくれた個人投資家やエンジェルに、出資してもらった分の出資金を返してしまえば、彼(彼女)らに渡した、自社の株(株式)を返してもらえるのでしょうか?

私自身、起業家の方から、全く同じ質問をもらうことはありませんが、出資者募集をしている起業家の方との面談で、同じような提案を頂くことはあります。例えば、起業当初は、多くの比率(例えば90〜100%)をエンジェルに出資してもらい、事業が軌道に乗れば、その殆どを買い戻して、エンジェルの出資比率を落としたいというものです。このような事が可能なのでしょうか。あなたはどう思いますか?

結論から言うと(少しきつい言い方かもしれませんが)「そんな虫のいい話はありません」というのが答えです。出資したお金は、融資(借りたお金)とは違って、あなたが起業(事業)に失敗しても、あなたに返済する義務のないお金なのです。ですから、出資した人(個人投資家やエンジェル)は、出資した比率分だけ「お金が無くなるリスク」を負っているのです。

そして、その「お金が無くなるリスク」を負った見返り(リターン)として、出資した比率分だけ「利益が青天井(上限無し)で増える可能性」を得ようとしているのです。判りやすく言えば、「1000万円を出資して、失敗したら0円、成功すれば10億円に増えるかも?」という感じです。


これを先程の話、「成功したら、出資金を返すので、株式を返してください」という話に当てはめると、あなたは出資者に対して、「失敗したら、お金はゼロになります。成功しても、出資してくれたお金を返すだけです」と言っているのと同じです。判りやすく言えば、「1000万円を出資して、失敗したら0円、成功したら1000万円返すだけ」という感じでしょうか。あなたが逆の立場だったら、どう思いますか?

この記事を読みながら、私と同じようにあなたも、きっと「そんな虫のいい話はありませんよね」と仰っているでしょう。もしあなたが、この記事を読んでも、「いや、私は成功した時の利益を、個人投資家やエンジェルなど、出資者に持って行かれたくない」と思っておられるのでしたら、個人投資家やエンジェルからの出資ではなく、銀行などからの融資(お金を借りる)で資金を調達されるほうがいいでしょう。

資金調達の方法に、「この方法がベスト」と言える正解はありません。あなたの事業プラン(起業プラン)ですので、あなたが納得される形で、スタートされるのが良いと思います。あなたにピッタリの資金調達が出来ればいいですね。頑張ってください。


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