起業前に事業戦略を練る必要がない理由

起業するためには、市場を分析し、それに従って戦略を練り、最小限のコストで、最大限のパフォーマンスを出すために、事前に準備しなければならない。

こうやって完璧を求めて起業するのは、社会人になってから、サラリーマンを脱サラして起業する起業家より、大学生などの学生が、在学中または卒業後に、起業するときに多い考え方のような気がします。

起業は、学校の勉強とは違い、正解はありませんし、理論や理屈で答えを導き出すことはできません。もちろん、経営に関わる学問もありますが、それを勉強したからといって、起業し、自分が思うレベルの成功を得られるかどうかは、また別の話です。

頭の中だけで、どれだけ事業戦略を立て、その戦略に従って起業しても、想像していた結果と全然違うということも、珍しい話ではありません。事業戦略より、むしろ実際に出た結果を、謙虚に受け止めて、柔軟に対応していくことが重要です。

私達エンジェル投資家は、起業家の中に、そのような素質が備わっているかも、出資を決める判断材料としています。頭が良くて賢くて、知識があって戦略家。そんな人は素晴らしいのですが、自分が立てた事業戦略に固執したり、執着しがちな面もあるようです。


誤解を恐れずに言えば、私は、起業前に事業戦略はいらないと思っています。事業戦略は、起業後に、ターゲットの反応を見ながら練っていけばいいのです。どれだけ戦略を練ったとしても、起業前には、ターゲットとする市場が何を求めて、どのように反応するのかを知る術(すべ)がありません。

知ることが出来ないのに、事業戦略を練ることなど出来るでしょうか。そのような、机上の空論は、「頭でっかち」になるだけで、百害あって一利なしだと、私は思っています。

人間は、自分の計算通りには動きません。それは、起業家のあなたが、これから雇うであろう従業員もそうですし、あなたがサービスやものを提供する顧客もそうです。どれだけ頭で考えて、合理的な行動を分析したとしても、人間は感情的で、不合理な動きをするものなのです。

それを、思い通りにコントロールできると思うのは、あなたの奢り(読み:おごり、意味:勘違い)なのです。あまり、事業戦略を練るのに必死になるのは辞めませんか。起業準備は、ある程度で構いません。あとは、起業してから行えばいいのです。まずは一歩、踏み出してみませんか?


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