出資はして欲しいけど、どこまで経営に口出される?

起業プランがあり、出資者を募集されている起業家の方が、自分以外の人間、例えばエンジェルや個人投資家に出資してもらう場合、気になることの一つに、これがあります。それは「経営に口を出されて、自分のしたいことが出来なくなるのではないだろうか」というものです。

出資してもらうと言うことは、基本、自分以外にも、経営について発言することができる(口が出せる)という事になります。その発言できる力は、出資比率(出資比率とは、資本金を何%づつ出したかという事です)と比例します。例えば、あなたが70%を出資していて、エンジェル投資家など、他の方が30%を出資しているとすると、発言できる権利はあなたが70、エンジェルが30となります。

この70:30の比率ですと、あなたの方が発言する力が強いので、例え口を出されたとしても(口を出されたり反対されても無理やりに)自分のしたいことができます。これが逆転するラインは50%です。どちらかが、50%を超えれば、超えた方には「無理やりにでも実行する権利」が生まれます(あくまで権利です)。

50%超ですので、50.001%でも構いません。50%を超えればいいのです。しかし、これで得られる権利は「無理やりにでも、自分の意見を押し通すことができる」というだけで、実際に、そうするかはお互いに別問題です。


例えば、私は100%出資している会社もあります。その会社は、50%を超える出資をしていますので、当然わたしは、「経営に口を出して、無理やりにでも方向を変えられる」という立場ではあります。しかし、経営については、社長に全て任せています。給料から、お金の使い方まで、一切口を出しません。もちろん、相談を受けた場合には、何時間でも話し合いますが、無理やりに何かを決めたり、押し付けたりすることはありません。

なぜなら、私達エンジェルの目的は「会社を支配して所有欲を満たすこと」や「人や会社を思い通りに動かすこと」ではなく、「起業家が創ろうとする未来を信じ、その会社の成長に一緒の乗ること」だからです。それが、起業家にとっても、エンジェルにとってもお互い利益になると思うのです。ですから、余程のことがない限り、起業家の方には、自由に経営してもらおうと言うのが私の考え方です。

自分の起業プランを持って、起業した起業家が、いくら出資をしてもらったとはいえ、エンジェルから行きたくもない方向へ、無理やり向かわされたとしても、面白くないでしょう。もし、私が逆の立場だったとしたらと考えると絶対に嫌です。私はいつも思いますが、出資の比率に関わらず、主になるのは起業家で、それを補助・援助するのがエンジェルです。ですから起業家の方には、精一杯、伸びのびと経営して頂ければいいと思っています。

もちろん、エンジェル投資家や個人投資家にも、様々な考えの方がおられます。全員が同じ考えではないと思いますが、基本の目的は同じだと信じています。どうですか?この記事が、出資者を募集するにあたってあなたが持っていた不安を、少しでも和らげることが出来れば嬉しいです。


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